中央アジアのスイス「キルギス共和国」ってどんな国?
中央アジア5ヵ国のうちのひとつであるキルギス共和国。
日本人にはあまり馴染みのない国かもしれませんが、キルギスは騎馬遊牧民が暮らしている広大な草原、どこまでも続く大規模な山脈や透明な湖などの美しい大自然を擁するとても魅力に溢れた国です。
今回の記事ではそんな中央アジアのスイスと呼ばれるキルギスについてご紹介したいと思います。
キルギスってどんな国?
<基本情報>面積:198,500km2
人口:6,000,000人
首都:ビシュケク
民族:キルギス人73.3%、ウズベク人14.7%、ロシア人5.6%
言語:キルギス語、ロシア語
宗教:イスラム教75%、キリスト教正教会20%、その他5%
キルギス共和国は、中央アジアの内陸部に位置する、約40もの部族が暮らしている多民族国家です。国境が中国やカザフスタン 、ウズベキスタンなどの国と接しています。人口6,000,000人の大半を占めるキルギス人の他、ウズベク人、ロシア人などが暮らしています。
公用語はロシア語で、国家語がキルギス語となっています。キルギスは旧ソビエト連邦であったときに、ソビエト連邦の言語政策の転換により、キリル文字を用いるようになりました。そしてキルギス独立後も引き続きキリル文字がキルギス語の表記に使用されています。
またソ連時代の影響で多くの人がロシア語を話せます。特に首都では日常会話にロシア語が主に使用され、キルギス語が流暢に話せないキルギス人もいるそうです。
キルギスに暮らすほとんどの人がイスラム教のスンナ派を信仰しています。しかしながら、イスラム化した時期が遅かったため、また遊牧生活を送っていたキルギス人に古くから信仰されていたシャーマニズムなどの自然信仰、土着信仰的な考え方や習慣も残っています。また、他の国の厳格なイスラム教と比べると、キルギスのイスラム京都は比較的に緩いです。
例えば、通常イスラム教は飲酒をしないが、キルギスのイスラム教との多くが、遊牧民の伝統的なお酒馬乳酒を頻繁にを飲み、街中の至る所でも酒類が販売されています。
キルギスの自然:
海のように広い湖のイシク・クル湖や、広大なパミール草原とそびえ立つ天山山脈の山々など、美しい自然を有するキルギスは「中央アジアのスイス」とも言われ、保養地や自然公園が多くあります。
雨が滅多に降らない乾燥地帯の周囲の中央アジアの国々とは違い、キルギスは夏は乾燥し冬は比較的雨量も多い気候で、地域によっては地中海性気候に近いです。
人里離れた山岳地帯の奥には、マルコポーロという山羊の一種や雪豹などの絶滅危惧種と言われるような貴重で珍しい動物も生息しています。その他熊や狼、イヌワシなども数多く生息しています。
キルギスの騎馬遊牧民:
かつてキルギス人の多くは遊牧生活を送っていましたが、1930年代にソ連がキルギス国内の定住化政策を進めた結果、現在は多くが農業などを生業として定住生活を送っています。
多くのキルギス人が定住化した現在でも、中には都市部から離れた山間部や高原地帯などで、古来からの伝統を受け継いで遊牧生活を送っているキルギス人も存在します。
キルギスの遊牧民は、ユルトと呼ばれる移動式住居に住み、羊、ラクダ、馬、牛などの家畜と共に暮らしています。
キルギスの移動式テントであるユルトは、基本的にモンゴルのゲルと同じような作りのドーム型のテントで、頑丈な木の骨組みが、羊毛フェルトで覆われています。
しかしモンゴルのゲルと比べると、大きさや屋根部分のカーブ具合、外面の装飾に違いが見られます。また、室内の家具や装飾も、チベット仏教の文様が描かれているモンゴルのゲルのものとは違い、どちらかと言えばカザフ文様に似たキルギスの文様が施された壁掛け刺繍や絨毯などが室内いっぱいに飾られています。
キルギス遊牧民は、夏の間は家畜を肥やす必要があるため、草が生い茂っている山の中腹などで遊牧生活を送り、冬になると山のふもとの村に移動して、厳しい寒さを乗り越えます。伝統的に男性は移動式住居を建てて家畜を追い、女性は家で家事や刺繍などの手仕事に励みます。
キルギスの遊牧民家庭は、積極的に国外からの旅行者のホームステイを受け入れている家庭も多いです。
キルギス人の性格と特徴:
キルギス人は良く日本人に顔が似ていると言われています。
確かにキルギス人の写真をみてみると、日本人い似ているような気もしますね。
なんでも「大昔キルギス人と日本人は兄弟で、肉好きな人はキルギス人となり、魚好きな人は東に渡り日本人となった」とも言われているそうです。もしかしたら日本人とキルギス人は同じルーツを持っているかもしれませんね。
キルギス人は日本人と同じく、遺伝的には基本モンゴロイドに属しています。ただ、キルギスは多民族国家で混血も進んでいるため、日本人のような顔立ちの人から、目の細いモンゴル系の顔のひと、目鼻立ちがくっきりしている人など、容姿は様々です。
キルギス人男性が被る伝統的な民族帽子はカルパックといってフェルトで作られています。帽子にはキルギスの文様が描かれており、縦に長いフォルムになっています。首都部に住む若い世代の人々はあまりこの帽子を被ることはないですが、祭事の時や清掃が必要な時、特に年配の世代のキルギス人男性は、この帽子を被っています。
対して、キルギス人の女性はイスラム教でもあるため、特に地方に住んでいる女性は色鮮やかなスカーフで頭を覆っている人も多いです。都市部に住む女性や若い世代は、スカーフを被らずに肌を露出している人もいます。
キルギス人の性格は、日本人に似て比較的人見知りでおとなしいそうです。
海外旅行にいくと、よく現地の人が積極的話しかけてきたり、急に近づいてきたりと日本人は少し驚いてしまうこともありますが、基本的にキルギス人は控えめで穏やかな性格をしているので、控えめなコミュニケーションも日本人と波長が合うかもしれませんね。
キルギス人は人見知りではありますが、とても親切でホスピタリティに溢れているので、一度仲良くなるとフレンドリーに接してくれて、おもてなしをしてくれるそうです。
また、キルギス人は真面目で礼儀正しく、謙虚な人が多いとか。ただ結構マイペースで時間に対する意識はとても低いようなので、キルギス人と仕事や待ち合わせをする際は頭に入れて置いた方がいいでしょう。
まとめ:
中央アジアのスイスと呼ばれるほどの豊かな自然と、今でも伝統的生活を守っている遊牧民、多民族国家ならではの入り混じった文化、日本人に似てシャイだけど親切な人々…。
キルギス共和国、行ってみたくなったでしょうか?
中央アジアの国々はどの国も互いに似ているようですが、実際はそれぞれ違った魅力が沢山あります。
Nomadic Soulでは中央アジアをはじめとする、遊牧民が暮らす国々の文化をこれからもご紹介していきます!