ゲルの組み立て方
遊牧民族は季節によって最も遊牧に適した場所を探して、家畜とともに定期的に移動しながら生活するため、簡単に移動できるよう、テント型の移動式住居に住んでいます。
遊牧民が住むテントには様々な種類がありますが、モンゴル、内モンゴル、ウズベキスタンやカザフスタン 等の中央アジアの遊牧民が暮らしているのはドーム型のテントです。
デザインや部材などもそれぞれ若干異なりますが、基本的にはどれも同じような造りをしています。
移動式ドーム型テントの呼び名は国によって異なり、モンゴルではゲル、中国ではパオ、ウズベキスタンやカザフスタン 等の中央アジアではユルトなどと呼ばれています。
今回のブログ記事では、遊牧民の代表国であるモンゴルの移動式住居『ゲル』の組み立て方法を簡単にご紹介していこうと思います!
ゲルの組み立て方:
ゲルの骨組みは簡単に分解できるため、部材をいくつかに分けて家畜やトラックに載せて運ぶことができます。ほとんどの場合、テントの分解や組み立ては数家族の男性が総出で行い、1〜2時間で完了します。組み立てには、かなづちもノコギリも必要ありません。
ステップ1:
まずは大体のゲルを立てる場所が決定したら、床となる部材や布などを敷きます。冬の寒い時期には、床に断熱材として乾燥した家畜の糞や絨毯を敷き詰めて、ゲルを保温し底冷えを防ぎます。
ステップ2:
ゲルの入口の場所が決まったら、『ハン』と呼ばれる析りたたみしきの壁を組み立てます。「ハン」を一つずつ広げて紐で繋ぎ合わせ、円形の壁をつくっていきます。そして扉をロープで壁に取り付けます。
ステップ3:
次にハンの円の中心で天窓トーノを2本の柱で持ち上げて、ゲルの四方向から次々と放射状に木棒の先を天窓の枠の穴に差し込み、もう片方の先を壁の上部に掛けて、紐や輪っかで固定していきます。
ステップ 4:
次に、屋根用の布やフェルトを屋根の骨組みにのせて、ハンに結んで固定します。また、壁にもフェルトを巻き付けます。寒さが厳しい時期は、防寒対策として隙間風が入らないようにフェルトを二重にしてゲルを保温します。
ステップ5:
ゲル全体を厚手の布で覆い、その上に防水用の布をかぶせたら、三本の紐で外壁を上中下の3段に分けて締め固定します。
ステップ6:
天窓にはウルフと呼ばれる布をおおい、天窓の枠の半分にかぶせせます。天窓の布をめくることによって簡単に風通しを良くしたり、室内の温度を調整することが可能です。ゲルの中に設定されているストーブの煙突を天窓から出すこともできます。
まとめ:
季節によって気温差が激しいモンゴルでは、夏は40℃近くまで気温が上がり、冬は-30℃以下になることもめずらしくないため、モンゴルのゲルは、簡単に温度調節ができるように沢山の工夫が施されてます。
モンゴルには、ゲルの組み立てが体験ができる宿泊施設やツアーなども多くあるので、モンゴルの広い草原で本場のゲルの組み立てに挑戦してみるのも楽しいかもしれません。