モンゴルと内モンゴル、何が違うの?

皆さんは、モンゴルと名のつく地域は2つあるのをご存知でしょうか?

日本で馴染みがあるモンゴル国の他に、内モンゴル自治区と呼ばれる地域があります。

内モンゴル自治区は中国領土の北側に位置していて、中国政府の管理下に置かれている自治区です。

中国人は内モンゴル自治区のことを内モンゴル、モンゴル国のことを外モンゴルと呼ぶそうです。対して、モンゴル国ではモンゴル国のことを北モンゴル、内モンゴルを南モンゴルと呼びます。

ではこの2つのモンゴルの違いはなんでしょうか?

今回の記事では、そんなモンゴル国と内モンゴルの違いをまとめてみました!


モンゴルと内モンゴルの違い

地理/面積:

<モンゴル国>

モンゴルの国土面積は156万4,100平方キロメートルで、日本の4倍です。
中国とロシアの間、内モンゴルの上(北側)に位置しています。
首都をウランバートルにおく、共和制国家です。

<内モンゴル自治区>

中華人民共和国の領土の北沿い、ゴビ砂漠の南に位置しており、北はモンゴル国とロシアに接しています。
国土面積は約118万平方キロメートルで、日本の約3倍です。
首都をフフホト市におく、中国の特別自治区です。



人口/民族:

<モンゴル国>

モンゴルの人口265万人です。そのうち大半がモンゴル系の民族で、中でもハルハ族が大多数を占めています。
モンゴル系の他にも、テュルク系やツングース系の民族が暮らしています。

<内モンゴル自治区>

内モンゴルの人口は人口約2300万人です。そのうち、モンゴル人は17%を占めており、80%以上が漢民族と構成になっています。
モンゴル系の民族と漢民族の他にも満州族や回族などの民族も1〜2%ほど暮らしています。



言語:

<モンゴル国>

モンゴル国ではモンゴル語が話されていますが、かつてソ連の影響下に長い間あったことから、現在もモンゴル語の表記にロシア文字と同じくキリル文字が良く使われています。
モンゴル文字の学習も学校で積極的に行われていますが、一般に普及しているのはキリル文字で、年配のモンゴル人はモンゴル文字を読めない人も多いです。


<内モンゴル自治区>

内モンゴルは学校や家庭では、伝統的なモンゴル縦文字を使いますが、中国の自治区で漢民族も多く暮らしているため、モンゴル人も日常では中国語を使用しています。特にネットやテレビなどのメディアにアクセスする際には中国語を使用する人が多いそうです。

モンゴル語の使用は家族との会話や学校のみであるため、少しづつ衰退していることも懸念されています。



住居:

<モンゴル国>

モンゴルでは遊牧民が住む移動式テントのことを「ゲル」と呼びます。ゲルはモンゴル語で「家」を意味します。

ゲルの円錐形の骨組みには、羊の毛でつくったフェルトが覆い被さっていて、寒さが厳しい時期は、防寒対策として隙間風が入らないようにフェルトを二重になっています。ゲルの中央には暖炉も設置されているため、真冬でも室内を暖かく保つことができ、床には断熱材として乾燥した家畜の糞を敷き詰めてゲルを保温して底冷えを防ぎます。
また、夏の日中暑い時期は薄手のフェルトに変えたり、円形の天窓「トーノ」やフェルトの床部分をめくることによって簡単に風通しをよくして室内の温度を調整することが可能です。


<内モンゴル自治区>

内モンゴルでは公用語び中国語を使用している影響で、遊牧民が住む移動式テントを「パオ(包)」と呼びます。中国語で包子(パオズ)は肉まんのような記事で包み込む料理を意味します。確かに肉まんのように見えないこともないですね。


基本的にはモンゴル 国のゲルと同じ作りをしていますが、モンゴル国の壁は平たく無色なのに対し、内モンゴルでは円柱型のことが多く、その他色使いや模様などにも若干の違いがみられるようです。




食事:

<モンゴル国>

モンゴルでは、人間は「赤い食べ物」と「白い食べ物」で生きていると古くから言われています。主に夏季は白い食べ物を指すチーズ、バター、ヨーグルト、馬乳酒、乳茶等の乳製品、冬季は赤色の食べ物を指す加工した干し肉等の肉類を食べています。

モンゴル国の料理は岩塩のシンプルな味付けが基本で、他のアジアの国のように香辛料は使いません。

また、モンゴル国で野菜は値段も高く流通量も少ないため、遊牧民は野菜をほとんど食べず、肉食中心の生活です。人々は野菜から必要なビタミンやミネラル等の栄養素をとることが難しいため、代わりに乳製品から必要な栄養素を摂取することで健康を保っています。



<内モンゴル自治区>

モンゴル 国と伝統的な料理や食文化は基本的には同じですが、内モンゴルでは、モンゴル国と比べると野菜が流通しているため、野菜が豊富に使われています。
また、中華の食文化の影響もあるので、入手できる香辛料や香味野菜などを使用していて、岩塩のみのシンプルな味付けのモンゴル 国の料理と比べると、内モンゴルは料理や味のバリエーションがあります。

内モンゴルでは、中国の様々な香辛料を使用した羊の串焼きが人気です。中国国内では、羊肉の串焼きは広く食されている料理ですが、内モンゴルの羊の串焼きは格別に美味しいとか。
羊の臭みが苦手な人が多い日本人には、香辛料を使っている内モンゴル料理の方が食べやすいかもしれません。

 

まとめ:

モンゴル国と内モンゴルの違い、いかがでしたか?

内モンゴルのモンゴル民族はは中国文化の影響も強く受けていると同時に、チンギス・ハーンの誇りを持ち、モンゴル民族としてのプライドも高いため、伝統文化への思いや保護活動はモンゴルよりも積極的に取り込んでいるそうです。

私たち日本人にはモンゴル 国の方が馴染みがあるかもしれませんが、内モンゴル自治区もモンゴルと同じくらい魅力溢れたところです。