かわいい子は悪魔に取られる?

こんにちは、Nomadic Soulの與古田です。

コロナウイルスの影響で商品がなかなか届かない状況なので、この間に遊牧民の文化や伝統などあれこれ調べているのですが、その中でモンゴル人の名前に関するとてもおもしろい話があったので、皆さんにご紹介したいと思います。

モンゴルにキラキラネームはない?

モンゴルでは、『可愛い子ほど、悪魔が来て連れ去ってしまう』という迷信から、大切な自分の子供には可愛い名前を付けずに、わざと悪い名前を付けるという変わった風習があるそうです。

子供を呼ぶときには、「かわいい〇〇ちゃん」や「良い子の〇〇ちゃん」などではなく、「醜い○○ちゃん」「悪い子」、と呼んだり、さらには「悪い犬!」や「人ではない子」というように、わざと人間とは思わせないような名前にするとか…。「糞つき!」や「糞まみれ」という名前も。いやはやなんと衝撃的。

なんでも、モンゴルでは乳幼児の死亡率が高く、成人前や子供のうちに若くして亡くなってしまう人も多いため、自分の子供に悪い名前を付けることは、悪魔や死神、目に見えない邪悪なものに、子供が襲われたり、連れ去られないようにする魔除のような役割があるそうです。

 

 

昔の日本にも似た風習が?

子供には極端に可愛らしいキラキラとした名前を付ける親も多い最近の日本では、とても考えられない風習ですよね。(かくいう私與古田の名前もキラキラネームです 笑)

でも実は日本でも昔同じような風習があったそうです。

衛生環境が悪く医療が整備されていなかった昔は、伝染病や栄養状態の悪さから乳幼児の死亡率が高かったため、母親は授かった赤ちゃんの流産、死産を何度も経験してしまうことも多かったとか。

親は自分が悪魔の恨みを買ってしまったために、その代償として子供がねらわれ命が奪われてしまうと考えたそうで、それを回避する魔除けの意味で、阿古久曽(あこくそ)捨松(すてまつ)、留蔵(とめぞう)といったような、わざと子供に汚い・縁起の悪い字を付けて、自分の大切な子供の命を奪おうとする悪魔に目をつけられないようにしてたそうです。

 

これは日本やモンゴルだけではなく、南アジアから東アジアにかけて古くから行われていた習慣だそうですが、近代化により医療環境が整備され、また戦後アジアに欧米文化が入って来たことにより価値観も変化してきたことから、このような命名は激減してるのだとか。

近代化が進んできているモンゴルでも、最近は、やはり子供に悪い名前を付けるのは可哀想で野蛮だという意見も出てきているので、本名は普通の名前をつけて、通称のみを悪い名前にする人もいるそうです。

この他にも、モンゴルには子供を「見知らぬ人にむやみに見せない」や「夜は外出させない」といったような、大切な子供を守る様々な独特な習慣も残っています。

このまま近代化と国際的な価値観が統一されて行ってしまうと、何十年後にはこの風習もモンゴルからなくなってしまうかもしれませんね。ちょっと寂しいですが…。

モンゴル人の命名の文化、いかがでしたか?
今の日本人から見るとかなり衝撃的ではありますが、愛する子供を守りたいというモンゴル人の想いが感じられますよね。

Nomadic Soulのブログでは、商品紹介の他にも、こういった遊牧民族の変わった風習や生活の知恵などもどんどん紹介して行くので、お楽しみに!