帽子とマナー
モンゴルは日本と同じく東アジアの国で文化的にも互いに似ているところもありますが、やはりモンゴルには遊牧民ならではの独自に築いてきたマナーやルールも沢山存在しています。
今回は私たち日本人がモンゴルにいった際に、知らぬ間に失礼な行動をとってしまわないよう、モンゴル独特の挨拶時のマナーを1つご紹介します!
帽子は脱がない?!
日本では、ちょっとかしこまった正式な挨拶の場では、帽子を脱ぐのが当たり前のマナーとされていますよね。
来客との挨拶、室内のイベントや学校の授業でも、帽子を被ったままだと失礼な印象があるかと思います。
これが実はモンゴルでは反対なんです。
モンゴルでは正式場であればあるほど、きちんと帽子をかぶって挨拶することがマナーとされています。
帽子を被っている方が、格式な挨拶であり、相手に敬意を表しているとされているそうです。
来客と挨拶を交わす際には、たとえ室内であっても、きちんと帽子をかぶって、必要であれば帽子を綺麗に被りなおしてまで、相手に敬意を表します。
特にモンゴル人男性にとっては、帽子は大事な身だしなみの一部であり、出かける際には欠かせないお洒落アイテムともなっています。
モンゴルには様々な種類の帽子がありますが、私がモンゴルの街中を歩いてみた時には、フェルトの中折れ帽子を被っている男性が多いように感じました。
モンゴルの民族衣装のデールを着ている男性達も、モンゴルの伝統的な丸い帽子より、写真のように少しウェスタンっぽいデザインの中折れ帽子を合わせて被っていたように思います。
頭は大事な部分?!
モンゴル人は帽子をとても大切に扱います。
帽子を脱ぐ際には、むやみに床においたりせずに、安全な高い場所に置くそうです。
これはモンゴルでは帽子は大量生産の安いものではないため、単に高価な帽子を大事にしているという点もありますが、その他にも、モンゴル人にとって帽子を被せる『頭』は天と人を結ぶ神聖な部分であるという考えがあるため、その頭に被せる帽子も神聖なものであり、特に慎重に扱われるそうです。
なんでも、モンゴルの遊牧民は常に自然と密に暮らしてきたため、チベット仏教が浸透している今でも、自然や天を崇拝するシャーマニズム的な考え方が強く残っているとか。
頭は天と人を結ぶ神聖な部分であり、また、他人から頭を触られると幸せが逃げてしまうという考えもあるため、モンゴルでは気軽に他人の頭を触る行為もあまり好まれません。
日本人は気軽に子供や友人の頭をなでてあげたり、ポンポンと軽く触ってしまうこともありますが、これはモンゴルでは嫌がられる可能性もあるので、やめた方が良いかもしれません。
モンゴルでは帽子を上下逆さまを置くこともまたタブーとされています。
これは、モンゴルでは『上を向いたものは上を向いたまま、下を向いたものは下を向いたままにしなければならない』と考えられているためです。
帽子のように下に向いているものを上に向けて置いてしまうと、帽子の中にその家の中の善が入ってしまい、帽子の持ち主がそれを持ち帰ることになってしまうと言われています。
また逆に、その人が帽子の中に持っている悪いものを、その家に広げてしまうとも言われているため、帽子は絶対に下向きで置かなければならないそうです。
モンゴル人のお家を訪問して、相手から「帽子を脱いでリラックスしてください」と言われた際に、帽子を脱ぐこともあるかと思いますが、帽子を置く時にも注意が必要ですね。
まとめ:
日本と正反対のモンゴルの挨拶時のマナー、いかがでしたか?
ところ変われば、礼儀もルールも変わります。
事前にその国のマナーをよく知っていると、相手の些細な気遣いや気持ちなども、より感じ取ることができます。
また、こちらも相手の国もマナーに従って行動することで、敬意を表し、良い印象を与えることができるかもしれません。
モンゴル人のお宅にお呼ばれした際には、是非、帽子を被ったまま挨拶してくださいね!