『私の星じゃない!!他人の星だ!!』

モンゴルの大草原では、空がとっても近く感じます。

標高が高く空気が澄んでいて、遮る建物もないため、どこまでも続く地平線と大空を堪能することができます。

そんなモンゴルの大草原でみる星空は格別美しく、満天の星空に流れる沢山の流れ星は、モンゴル草原に滞在する際の大きな魅力の1つです。

日本では、流れ星はロマンチックで縁起の良いものとされていて、「流れ星が落ちる前に心の中で3回願い事を唱えると、その願いが叶う。」とされていますよね。

しかしモンゴルでは真逆で、流れ星は不吉なものとされているのです。

 

『私の星じゃない!!!』

モンゴルでは、流れ星を見ても願い事をしません。

もともとモンゴルでは「人はだれもが空に自分の星を持っていて、命を落とすとその星も落ちしまう」という考えがあります。

流れ星は亡くたった人の魂が、流れ星となって落ちているものであり、流れ星はあまり見るべきものではないと信じられているのです。

また、「流れ星を見ると、自分も命を落としてしまう」とも言われているため、モンゴル人は、もし流れ星を見てしまったら、

「私の星じゃない、あれは他人の星だ!トゥイトゥイトゥイ(魔除けとして唾を吐く音まね)」

と言うことで、目の前を流れた星が、「自分の星」「自分の魂」ではないことを願うのだとか。

迷信を信じているモンゴルの年配の世代には、特にこの習慣が浸透していそうです。

 

中国からの迷信?

このモンゴルの流れ星の迷信ですが、有名な中国の三国志にも似たような記述があるそうです。

三国志に「三国時代、諸葛亮の陣営に赤く大きな流星が3度流れ、これにより諸葛亮は自分の死を察知した」というような一説があることから、流れ星を見ると命を落とす、という言い伝えがモンゴルを含むアジア圏にも広まったと言われています。

実は日本でも昔は、流れ星は不吉とされていました。

「日本書紀」には「天に悪神あり。天津甕星(星の神)という」と記述があることから、天変地異や戦乱などの凶変の前触れではないかと恐れられていました。また、地域によっては、モンゴルのように「人が亡くなると、流れ星が流れる」といった言い伝えもあったそうです。

それが日本ではいつからか、欧米の「流れ星を見るとお願い事をする」習慣が入ってきて、今では「縁起の良い、長いごとを叶えてくれるロマンチックなもの」とされるようになりました。

この他にも、世界各地や日本国内では、地域によって流れ星に関する様々な迷信や捉え方が存在していました。

 


まとめ

国や地域、時代によって捉え方が異なる流れ星。

日本では人々に嫌われる存在から、今は喜ばれる存在へと変わりました。

現代の日本では、都会に行くほど街灯やビルの灯があるため、綺麗な星空をみるのは難しいです。また、ゆっくりと星空を見上げ、流れ星を見ることもめっきり減ってきています。

忙しい現代の日本社会でストレスが溜まってしまったら、都会の喧騒から遠く離れたモンゴルの大草原で、夜空を駆けていく美しい流れ星を見るのも良いですよね。

その時のために、願い事を唱えるのか、「私の星じゃない!」と呟くのか、どちらにするか決めておいてはいかがでしょう。