タジク人の美意識
こんにちは、Nomadic Soulの與古田です。
今回のBlog記事では、数多い遊牧民族の中でも「タジク人」にフォーカスして、彼らの変わった美意識についてお話していこうと思います。
タジク人って?:
タジク人(タジク族)はアーリア系スキタイ遊牧民の東イラン系の民族です。
主にタジキスタン やウズベキスタン、アフガニスタン、新疆ウイグル自治区の南西部などに住んでいます。
タジク語やパミール語、ヤグノビ語、ウイグル語など、居住地域によって様々な言語を話し、ほとんどのタジク人がイスラム教のスンナ派を信仰しています。
タジク族は、紀元前にパミール高原東部に居住していた民族をルーツとしており、中央アジアで最も古い歴史を持っている民族と言われています。
歴史的にタジク族は畜産や牧畜を生業とし、農業を兼業としてきました。
春には定住している村で作物を植えて、夏にはパミール高原で家畜と共に遊牧生活を送り、秋になると村に戻って春に植えた作物を収穫し、蓄えた食べ物で厳しい冬を越す、といった半定住半遊牧の生活を送るそうです。
近代化が進んでいる現代では、遊牧をやめて完全に定住生活をするタジク人も多いです。
タジク人の美の条件:
一本眉:
タジク人が多く住むタジキスタンでは、眉毛が繋がっていることが美人の条件と言われています。そのため、タジク人の女性の多くは、化粧で眉毛をつなげています。
都会より地方の田舎の方に、多く見られる習慣です。
タジク人はアジアとヨーロッパが混ざった濃い顔立ちをしているので、繋がった一本眉がさらに強い印象を与えます。
なんでも、タジク人の間では眉毛が濃く、繋がっている女性の方が健康的であるという考えがあるそうです。
健康な女性を妻にしたいと考える男性が多いため、眉毛が繋がっている人がモテて、美人の基準となったとか。
もともと、パミール地方に住むタジク族は、16~17歳の成人になると、男女とも眉毛にまゆ墨を書く習慣があったそうです。やはり太く濃い眉は、男女問わず健康な証拠として好まれていたのかもしれませんね。
タジキスタン の他にも、ウズベキスタンのタジク族が多い地域やイランやコーカサス地方の一部でも、眉墨をいれる習慣が見られるそうです。
タジク族の女性は、「ウスマ」と呼ばれる、育毛効果もあるハーブを使って、眉を繋げる化粧をします。基本は自分でやりますが、特別な時には美容サロンへ行ってプロにやってもらうこともあるそうです。中にはハーブなどの染料ではなく、ペンを使ってそのまま描いちゃう人もいるとか…。
眉と眉の間が狭ければ狭いほど良いとされているので、自然な感じで眉間を狭めるように化粧を施している女性もいますが、完全に眉毛が一本に繋がっていて、不自然に眉間が黒く塗り潰されているような化粧もあります。
また、眉だけではなく、髪の毛も長く黒々とした人が多い気がします。やはり太い髪の毛も健康や美の象徴なのでしょうか。
金歯:
タジク族は男女限らず金歯にしている人が多くいます。タジキスタン の街中を歩いていると、本当に金歯率が高いです。
これが1本や2本だけという話ではなく、前歯が全部金歯でキンキラキン!ってことがよくあります。若い世代にもいますが、特にお年寄りの世代に多い気がします。
歯を金歯にする美の習慣は、中央アジアやインドの一部などでも見られるそうで、
これは、金歯は富の象徴とされていて、歯を金歯にできる経済的に裕福で素敵!イコール=かっこいい/美人だと考えられているとか。
金歯があることは言わばステータスなので、虫歯でなくても金歯にしたり、わざと目立つように前歯に入れたりするそうです。
また、タジキスタン は旧ソ連時代は社会主義だったため、私的財産が強制的に没収されることを防ぐ目的で、自分の財産を金歯として残していた名残だとも言われています。金歯を美しいとする美の基準には歴史的な背景が強く影響していたんですね。
過去のニュース記事によると、タジキスタンの大統領は国のイメージを改善するため、「金歯は我が国の文化や伝統でもない!」と言って、公務員が金歯にすることを禁じたそうです。
なんでも、以前大統領が賃金の低さを訴える教員と面会した際、教師の歯が金歯だらけだったということから、「自国の貧しさを国際的に訴えても、公務員が金歯だらけだと、どの国際機関にも信じてもらえない!」と考えたとか。
歯を金歯にする習慣ははタジク族に限定して見られるものではないですが、タジク族の繋がった眉毛と金歯のビジュアルは日本人には結構衝撃的かもしれません。
まとめ:
いかがでしたか?
タジク族がニコッと笑うとピカーと光る金歯と黒々しい眉。
なんだか強そうに見えます。
日本でも、平安時代はお歯黒が美しいとされていましたね。
また、欧米では嫌われている八重歯が可愛いとされていたり。
あと何百年かしたら、日本でも金歯ブームが来ているかもしれませんし、「場所や時代が変われば、美の基準も変わる。」とてもおもしろいですね。